とことこあーすでは、病気や障害があることで旅行にいくことが不安に感じている方へ
旅行前相談を実施しております。
旅行のプロ、旅行看護師、医療ケア児専属の担当者が
出発前の旅行〜出発までのご相談をお受けしております。

今回は2021年4月にご相談いたただきました内容をご紹介したいと思います。

「福岡から大阪USJへ!または沖縄へ?!医療ケアのある娘と家族旅行にいけるかしら?!」


〇ご相談のきっかけ
弊社介護旅行コンサルタントの森本が3月にスピーカ―として参加したイベントに、
ご相談者様が参加してくださいました。
その後メールをいただき、旅行前相談がスタート。
必要事項をご質問させていただき、コンサルタントがお勧めプランを作成し、
その後ZOOMを利用して直接お顔を見ながらプランのご要望の再確認と、プランのご説明をさせて頂きました。

〇ご相談者様の想い、ご要望
~以下お便りから~
医療ケアのある子と一緒に海外へ行かれた話を見て驚きました!かっこいいです!
我が家は5人家族ですが全員で揃っての旅行は数える程しかありません。森本さんの経験を見てもしかしてうちも行けるのでは?と期待しています。
何をどうお伝えすれば良いのかわからないのですが、娘は自発呼吸無しで人工呼吸器を24時間使用、経管栄養、酸素、車椅子はストレッチャータイプ…という感じです。
家族で行ってみたいね!と話しているのはユニバーサルスタジオジャパン(子供達が皆マリオが好きで気になっています)、沖縄です。

〇とことこ相談員からご相談者様への質問
・これまでご旅行に行かれた時の交通手段や、方面、など
・娘さんが好きなこと (風とか音とか揺れとか、家族の声とか、スイーツの香りとか・・・なんでも!)
・ストレッチャーのサイズ(幅と長さ、畳めるのか、ご本人様のもの以外でも利用可能か)
・座り姿勢は可能ですか?(車椅子の背もたれをフラットからあげることはできますか?)

〜以下ご回答〜
◯泊まりで行った事があるのは
・家族旅行で長崎県のハウステンボス(ホテル泊、自家用福祉車両)
・家族旅行で福岡県内の休暇村(ホテル泊、自家用福祉車両)
・修学旅行で大分県(リフト付きのバス、宿泊施設)

◯娘が好きな事は…歌ですかね。
あとは映像や変わった音も好きみたいです。マリオとかミニオンとかも好きですね。
あとは今は料理に興味があるようです。
USJなら私達が会いに行きご旅行のお手伝いしますやん!
の言葉に心動かされています(≧∀≦) 

今はまだコロナの事がありなかなか難しいところもあるかもしれませんが、
このような状態でもお話し聞いてもらえると嬉しいです。

〇旅行会社からの提案と想い
ご相談者さまがご家族皆さんで旅の思い出をつくりたい!という思いをできる限り叶えるプランを考えました。
旅行のプロ、旅行看護師の野中、そして医療ケアの子を育てて実際に海外旅行に行った森本、このチームでプランしました。

【ポイント】
①医療ケアのあるご本人さまに無理のない、かつ楽しめること
②介護者であるご家族も旅を楽しむ時間を作ること
③元気いっぱいのご兄弟の旅も叶えること
④旅行会社として旅程を作成して「旅の見える化」をすることで、医師、看護師、リハビリなどの支援者にも
「旅行中のケアや注意事項・支援ポイント」が明確になり
専門家が皆で出発までをサポートできる。
⑤あらかじめお伺いした座り姿勢ができない状況やストレッチャーサイズをもとにご提案を考えました。
ストレッチャーのサイズ 幅約70センチ 長さ約160センチ)

ーーーーーーーーーーーーー 〇ZOOMにてプラン紹介とご相談 (約60分) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【ご提案と相談内容】
①移動 ②宿泊・入浴・食事 ③お勧めプランでご提案。

①移動
〇船旅
名門大洋フェリー (北九州新門司港~大阪南港)
※お時間は実際の出発日のものをご確認ください
新門司港発(上り便)    ⇔    大阪南港発(下り便)
1便 17:00 ⇒ 翌日05:30      1便 17:00 ⇒ 翌日05:30
2便 19:50 ⇒ 翌日08:30      2便 19:50 ⇒ 翌日08:30

https://www.cityline.co.jp/terminal/barrier_free.html

 

〇新幹線
多目的室のご案内
例)N700A新幹線の多目的室は1.5m×2.1mほどの広さ
※東海道・山陽新幹線の一部列車では、車いすに乗車したままご利用になれる「車いすスペース」もございますが、ご相談者様は医療機器をご使用ですので電源のある多目的室をご紹介いたしました。

〇介護タクシー
ご出発の福岡からストレッチャータイプの車椅子でご乗車可能なミニバン介護タクシーの貸切も可能。
または、新幹線で新大阪に到着後、大阪の観光部分のストレッチャータイプの車椅子でご乗車可能なミニバン介護タクシーのお手配も可能です。

〇飛行機
ストレッチャータイプ車椅子の方の座席のこと、ご家族の座席のこと、搭乗や離陸着陸時のアドバイス、機内での持ち込み医療機器のことなどご案内。

②宿泊・入浴・食事
〇USJ
「ホテルユニヴァーサル ポート」
「WAKUWAKUワンダールール9階」 (2~3名)花火見れるかも

「ミニオンルーム7階」(2~4名)

「バリアフリーコーナールーム (2~3名)3~6階」




※ご兄弟様を含めて、お子様たちがミニオンがお好きとのこと。そして、少しでもUSJへのご移動時間がかからないよう、またお部屋にいながらにしてUSJを感じることが出来るよう、上記のホテルをご提案いたしました。パークで観光中に万一体調を崩したり、休憩が必要になっても、ホテルが近くにあると安心です。

5名様でお泊まりいただけるホテルとしてこちらをお勧めしました。
「ザ パーク フロント ホテル アット ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」
※5名様でお泊り頂けるホテル(コネクティングルーム利用時6名様まで)


※ZOOM相談の際に下記のこともお伺いしました
・ご家族構成(ご兄弟さまの年齢、ご興味)
・ストレッチャー車いすは、狭いEVなど、短時間なら、背をおこすことはできる。
・吸引はバッテリー、蓄電池
・加湿器もご持参(バッテリー5時間前後)※コンセント5個のものご持参
・酸素2本ご持参、※大阪で用意可能
メールだけでは伺いきれない旅に関する細かなことも、ZOOM相談でお互いに知ることが出来ます。

※また、通常ご自宅でどのように入浴されているか、旅先でどうしましょうか?
お食事はどのようにしましょうか、ということもお写真など見せていただきながら相談できました。
吸引が必要であったり、医療機器の電源も必要です。
お食事は、ご家族で個室でお取りできると良いね!というイメージができました。
実際のご旅行日程が決定して移動・ホテルの決定に合わせて、入浴・食事に関してもさらに詰めることになりました。
※ここでは割愛しますが、沖縄旅行に関しても少しお話しました。

お勧めプラン 新幹線de大阪USJ
一例ですが…こんなプランが可能です。
★いらっしゃいポイント★はご希望の部分のお手配が可能です。

【お勧めプラン 新幹線de大阪USJ】

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1日目
ご自身で<博多駅>までおこし下さい。

★いらっしゃいポイント★
<現地係員が駅にてご乗車のお手伝いをいたします

 9:15     博多駅発
11:43  新大阪駅到着

<専用車にて★専属添乗員とご一緒に大阪観光へご案内いたします>

★いらっしゃいポイント★
<車椅子ごと乗車またはベッド付き専用車にてご案内>
★ご希望により看護師やヘルパーの同行も可能です。

12:40  ご昼食

★いらっしゃいポイント★
<医療ケアや食事の形状も事前に確認し大阪の食を楽しんでください>

15:00 ホテルにチェックイン

★いらっしゃいポイント★
<ご体調を再度確認。ご家族の大阪でのご滞在を思い出深いものになりますよう、ご旅行中の夢やご希望を再確認。>

ご希望の観光、またはアクティビティ、またはご休憩

<ご入浴にお手伝いが必要な場合はお申し付けください>

18:00 ご夕食

★いらっしゃいポイント★

個室のお手配または高級ホテル『リッツカールトン』での記念日ディナー?大阪屋形船での貸切ディナークルーズ?
<専用車と案内人がご一緒いたしますのでお食事後も夜景を見ながらホテルまでご案内いたします>
                                                                    USJ泊
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2日目
★いらっしゃいポイント★
9:00 <ホテルまで専用車と添乗員がお迎えにまいります>

ユニバーサルポートのホテルの場合は徒歩にてUSJへ
終日 途中ご休憩を含めて大阪観光をお楽しみください

①USJ
②よしもと新喜劇
③ご希望の大阪観光  ( 天満、法善寺横丁、ハルカス、大阪城…!?)

18:00 ご夕食

USJ泊
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3日目
★いらっしゃいポイント★
9:00 <専用車にて専属添乗員が新大阪駅までご案内いたします>
10:23  新大阪発
12:51  <博多駅>着

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〇提携看護師からの提案と想い

九州外への初めての旅行という事で慣れない場所や移動、旅行先での過ごし方など心配な事が多かったと思われます。
家族での旅行を何回もされているご相談者様のお話を聞くと、
とても愛の深い家族だなと想い何とか力になりたいとお話を聞きました。

旅行する上で今回の家族旅行は最高だったと思っていただくために、
医療者からおさえておいて欲しいポイントは主に4つです。

①旅行先で何をしたいのかを明確にする。
②いつも安全、安心に生活出来ている状況を再現する。
③介護者の負担を分散または減らす。
④有事の際に安心出来るサポート体制を準備する。

今回のご相談者様は何度か家族で旅に行かれた経験があり、介護者もご両親とも積極的に関わられており、介護、医療ケアについては問題ないと判断しました。
私は毎日目の前でケアされている家族さんと、関わる支援者さんの介護、医療ケア方法を変える事は基本的にはしません。それは関わるみなさんの歴史を尊重しているからです。
日頃のケアの確認と旅行がより安全に快適に出来るために必要ならば提案させて貰いますが、頭ごなしにそれは専門的には違うというのはおこがましいと考えています。

あとはそれを慣れない移動手段や旅行先でいつも通りに行えるような環境を用意する事です。これは例えば新幹線の移動であれば多目的室を借りる事が多いのですが、広さや動線、アメニティの種類の説明に始まり、医療者の実体験からどのような事は可能でどのような事は少し不自由を感じるのかを伝えてイメージしてもらう事が大切と考えお伝えしました。

いつも対応してもらっている酸素会社や医師から遠くに行くという事も少し不安に感じておられた様子のため、
事前に出来る事として酸素会社へ旅行先の支社の連絡先と酸素の運搬などの対応やトラブル時の対応を確認してもらう事をお伝えしました。

国内であれば、酸素会社のサービスは基本的には全国的に展開されており、
旅行先ホテルへ酸素濃縮器や携帯酸素ボンベの運搬を行ってくれる事を実際の利用者さんはご存じない事もあるのでこの機会にお伝えしました。

あとは有事の際に正確で迅速な対応をしてもらうために、医師から診療情報提供書を作成してもらうこともお伝えしています。治療歴や内服歴、アレルギーの有無は治療する上で判断に有用なものです。
こちらの持参は遠方への旅行の場合は必ず持参してもらうようにお伝えしています。

また旅行に行かれる家族全員が楽しむ事も旅行では大切だと考えています。
そのため、介護・医療ケアで疲れた、他の兄弟との時間も取ってもらうために旅行先でヘルパーや看護師の付き添いをつける事も提案させていただきました。

 

〇相談者の感想
~以下ご返信から~
ZOOM相談後、作成してくださった日程を見ながら、家族で盛り上がりました!
どうやら船で行く事になりそうです。夫もノリノリで仕事は休むから大丈夫だとのことです。
※このような嬉しいご連絡を頂きました。

〇相談から学んだ事

(森本)
まずは旅行会社側から、相談者様の情報に基づき大まかな旅程のご提案をしたことで、
「行きたい所にいける方法がある!」
「自分たちの理想の旅はなんだろう?」
イメージして頂けたのではないかと思います。
移動やホテルに関してもいくつかの選択肢をご提案し、私達が「新幹線が良いのではないか?」と思い、【お勧めプラン】つくりましたが、「船旅」をご選択され驚きました!
お子様連れでの船旅、とても楽しいです。また、ご自身のお車での移動が可能という点もメリットですね。
可能性として様々な移動の選択肢をご提案できて良かったと思います。
実際の出発日が決まるとお見積りをして、料金との兼ね合いもありますが、
旅行前相談では、やはりご家族の「理想の旅」のカタチがみえるので、旅を一緒につくる楽しさを頂き感謝いたします。
福岡のご相談者様、みなさまに旅行前相談として、情報をご共有くださり誠に有難うございました。
実際のご旅行が実現しますよう!
そして、またこの場で皆様にご報告できることを楽しみにしております。

 

(野中)
私達医療者は最悪のケースを考え、予防する事やより安全に安心に過ごしてもらうために知識や経験をご提案させていただきます。しかし、それが故に本来楽しみである「旅行」を少し堅苦しいものにしてしまう可能性があるため、いつも「楽しむ」という事を最優先にご提案させていただいています。今回は人工呼吸器や酸素投与、胃瘻、全介助と一見すると旅行は大変そうでリスクもあると考えてしまう状態でした。
しかし、ご相談者様は「家族旅行」としてお子様全員が楽しめる事を一番に考えていました。
その姿を見て、家族さんの愛の深さと気持ちの温かさに熱くなりました。
家族で楽しむための時間を最高だったと言ってもらうように私達医療者は制限をかけるのではなく、寄り添い、ともに叶えるために考える。そういった事を忘れずにこれからもお力になれれば幸せだと再認識させていただきました。

 

〇終わりに
ご旅行前相談は「行きたい場所に、旅行に行けるかな?いけないと思っていたけれど、いける方法があるのかな?」
というところから始まります。
病気や障害のある方のご家族、支援者様からの共通したお悩みです。
まず、この旅行前相談ではその点の疑問に対して、旅行側、医療側から可能性をご提示するものです。そして、ご家族様がそのご旅行で何を楽しみにされているのか、じっくりお聞きしてできる限りご希望に添えるようにプランいたします。

ですので、ご旅行時期はまだ未定!いけるのかどうかがまず知りたい!
そんな方がほとんどです。

「これなら行ける!」のプラン、作戦が分かれば、例えば主治医や看護師、リハビリのセラピストやヘルパ―さん、ご支援者さまにも具体的なプランを見せて、協力を仰ぐこともできるでしょう。
一歩一歩、夢の旅に近づきます。

あなたの旅行の相談と旅の経験が、これから旅へ行こうとする方へ、大きな夢を与えたり、

「行けるかもしれない!」という希望になります。

ご相談、お待ちしております。