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イベントレポート

シリアを応援しよう! 〜4カ国から見る世界の教育のこれから〜

こんにちは!とことこあーすの八木です^^

今回は、NPO法人”Piece of Syria” 代表理事長をされている中野貴行さん、認定NPO法人アクセス事務局長をされている野田沙良さん、一般社団法人”Kisso” 代表理事をされている加藤大地さん、NPO法人オンザロード事務局長をされている岡本舞子さんの4名の方々と、それぞれシリア、フィリピン、カンボジア、インドの4カ国の教育の現状や今後について、対談しようというシリア応援企画を実施しました。

シリアの教育

  シリアの教育の現状について、NPO法人”Piece of Syria” の代表理事長をされてる中野貴行さんがお話ししてくれました。

シリアは元々、就学率も99.6%、さらに授業料は大学まで無料、教育レベルも高いという、日本よりも教育に関する環境が整っている国でした。しかし、2011年3月、シリア内戦が勃発。国民の約半数が、難民・国内避難民となってしまいます。そこで、教育現場も大きな影響を受けました。高かった就学率は6%にまで減少。11年経った今でも、約3分の1の子どもたちは学校に通えていません。また、当時は無給で働く先生、国内避難民が一部に集まる、厳しい冬の寒さなどの問題がありました。これにより、先生や学校が足りなくなる、子供たちが寒くて学校に行きたがらなくなり、十分な教育を受ける機会が失われていきました。そこで、中野さんたちが設立された、”Piece of Syria” では、戦争前のシリアを取り戻すため、学校を作るというプロジェクトを立ち上げました。先生たちに継続的な報酬を支払うこと、教室の増設、ストーブと灯油など設備を整える支援をされているそうです。また、アラビア語・英語・算数などの基礎的な勉強や、紛争によるトラウマから解放されるために、心理社会学的ケアなどの教育を、今まで1800人の子供たちに届けてこられたそうです。そして、今回のクラウドファンディングでは、”SAKURA幼稚園” という、生徒数約100人の幼稚園の建設を目標とし、活動されています。

フィリピンの教育

 フィリピンの教育現場について、認定NPO法人アクセス事務局長をされている野田沙良さんがお話ししてくれました。

フィリピンは、高級住宅や高層ビルのすぐ横にスラム街があるという、他の国では珍しい光景があり、経済格差が大きい国と言われています。そんなフィリピンの教育現場では、小学生の約6分の1、高校生は約半分の人が中退してしまうという現状があります。そんな中、子どもたちに “教育を受けさせてあげたい” という親御さんが多くいらっしゃるそうです。そこで、野田さんが事務局長を務める、認定NPO法人アクセスでは、日本人のサポーターとその子どもたちを繋ぎながら、スラム街の子どもたちへ教育の機会を与えるという活動を実施しています。詳しく説明すると、日本人のサポーターの方が18,000円を寄付することで、一人のこどもが一年間学校に通える、そしてその支援した子から、プロフィールや手紙、写真などが送られてくるといった仕組みで、心の交流にもなっている活動です。この活動を通し、33年間で、のべ4000人以上の子どもたちに教育を届けてきたそうです。

インドの教育

 インドの教育について、NPO法人オンザロード事務局長をされている岡本舞子さんがお話ししてくれました。

インドの大きな特徴は、カーストという身分制度があることです。現在は廃止されているとはいえ、約3500年も前から続いていたその制度は、人々の生活に根強く残っています。カーストが低い家庭では、子どもたちだけではなく、その親たちも学校に通えていないという連鎖があります。それにより、親は教育の重要性を子どもたちに伝えられず、学校に行くよりも明日食べるものを得るために働くことの方が大切だ、という考えがあり、その負のスパイラルから、貧困を抜け出せないという状態が長く続いています。子どもたちを学校に通わせるには、まず親に教育の重要性を伝えることが必要だったそうです。そこで、NPO法人オンザロードでは、マザーベイビースクールという学校を設立しました。この学校は、下位カーストやカースト外の家庭を対象に約50人の子供たちが通っています。

カンボジアの教育

 カンボジアの教育について、一般社団法人”Kisso” 代表理事をされている加藤大地さんがお話ししてくれました。

カンボジアは、1970年から約20年もの間、内戦が起こり、その時、知識層の方々が軒並み殺されてしまいました。また、地面には多くの地雷が埋まっていたり、政情が不安定という状態が続いていました。2000年代になり、少しずつ他国からの援助が入るようになって、「小学校を作る」という活動が始まりましたが、就学率が上がらないという状況でした。5歳まで勉強に触れていなかった子供たちが、学校に入る年齢になったからといって、小学校でいきなり学び始めるのはなかなか難しかったり、妹や弟ができて面倒を見るために学校に通えなくなったりすることが問題でした。そんな中、加藤さんが設立された、”Kisso” では、幼稚園にも目を向けます。手の洗い方などの衛生面に関する教育など、生きていくために大切な基礎的な知識を学べる場所として、幼稚園の必要性を感じたそうです。そこで、1000縁(円)プロジェクトを開始します。一口1000円から参加できるが、1000人以上の参加がなければ、幼稚園は建てられないという仕組みにして、このプロジェクトや幼稚園の必要性をより多くの人に知ってもらうことを目標に、この活動を始められたんだそう。幼稚園は7年前に設立、現在では120人近くの子供たちが通っているそうです。

最後に…

今回、4カ国の教育に関する支援をされている4名の方々のお話を伺って、一般的に「途上国」と言われている国々でも、その国の歴史や文化などの背景から、現在の教育現場を改善するためのプロセスやアプローチの仕方が大きく変わってくることを知り、一つ一つの国に関心が湧き、その国について知りたいと思う良い機会だと感じました。また、みなさんが、「役割分担」という言葉を使われていたことがとても印象に残りました。他の国の支援もしたい、しかし自分には自分が担当している国がある。ならば、他の国を専門に担当しているNPOの団体に、「その国はよろしく!」と寄付をする。それが、他の国を支援することにつながる。寄付してくださる方々の気持ちを汲みとって、責任を持って、活動していく、そんな素敵な考え方を感じとることができました。

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